「WWDジャパン」5月29号表紙(左)と「WWDビューティ」付録
ファッション&ビューティ関連のビジネスやクリエイションを扱う専門メディア「WWDジャパン」は年に何度か、サステナビリティ特集を行います。毎回、「循環型」や「素材」などテーマに沿って最新事情や課題などをまとめているのですが、5月29日号のテーマは「店頭」でした。
https://www.wwdjapan.com/articles/1565281
サステナビリティ×ファッションの話題は素材開発から店頭へと移りつつあるとしたうえで、「売り場から始めるサステナビリティ実践例26」をタイトルに掲げています。うめだ阪急本店にアウトドア×ラグジュアリー×サステナビリティをキーワードにした話題の売り場「グリーンエイジ」や、アダストリアが創業の地である水戸で子会社アドアーリンクを通じて展開する「オフストア」、そして、“ブランドが生まれた時からエシカル&サステナブル”な無印良品がサステナビリティを意識し地域コミュニティーや地域生産者との協働を推進する京都山科などの注目ショップを紹介しています。
表紙に起用したのは、うめだ阪急本店の「グリーンエイジ」に、ブランド世界初となるカフェ併設型のコンセプトストアをオープンした、デザイナーのステラ・マッカートニーです。ストアのコンセプトや、ステラマッカートニーが目指す世界と矛盾、注目する技術(売場から始めるサステナブル実践例)等、独占インタビューは読み甲斐があります。
販売員に対する大規模アンケート調査も実施しており、973人から寄せられた、店頭と本社の意識格差や、お客さまとダイレクトに接する販売員だからこそ感じる顧客意識などがまとめられています。サステナ先進ブランドとして知られる「H&M」による「本社と売り場との情報共有のコツ」にも学びがあります。
さらに、付録として、「WWDBEAUTY」による「Z世代と考える化粧品業界のサステナビリティ」も付いてきます。主に「カーボンニュートラル」「ダイバーシティ&インクルージョン」「パッケージ」「価格の壁」「容器回収」の5つの事例を中心に、化粧品業界のサステナビリティの最新の取り組みなどを紹介しています。とくに1社では完結できない「容器回収」に挑む花王の取り組みには注目です。
付録の巻頭を飾ったのは、俳優の二階堂ふみさんです。そのインタビューからは、環境問題や動物愛護などに対する関心の高さや覚悟などが伝わってくるもので、彼女の新しい一面を発見できるはずです。他にも、Z世代は本当にサステナビリティや社会的課題への関心が高いのか、約100人に意識調査を行ったり、Z世代の専門家であり、SDGsのプロジェクトなども行っている「シブヤ109 ラボ」の長田麻衣所長へのインタビューも実施しています。
これらの5月29日号にまつわる記事はウェブでも紹介されていますので、参考にしてみてください。
「パタゴニア」や「アルマーニ」から学ぶ循環型の店舗設計とは? サステナアクション事例集vol.1【売り場から始めるサステナ実践例】
https://www.wwdjapan.com/articles/1566738
進む梱包材の脱プラ サステナアクション事例集vol.2【売り場から始めるサステナ実践例】
https://www.wwdjapan.com/articles/1567333
阪急うめだ本店新ゾーン「グリーンエイジ」は店頭事例の宝庫 “人と自然の共生”の訴求法【売り場から始めるサステナ実践例】
https://www.wwdjapan.com/articles/1567447
「無印良品」京都山科に見る地域密着型循環店舗のつくり方【売り場から始めるサステナ実践例】
https://www.wwdjapan.com/articles/1563036
973人の販売員が回答 3割が“本社からの情報は不十分”【売り場から始めるサステナ実践例】
https://www.wwdjapan.com/articles/1566680
サステナ先行企業H&Mに聞く、販売スタッフとの情報共有の方法【売り場から始めるサステナ実践例】
https://www.wwdjapan.com/articles/1566053
ステラ・マッカートニーが目指す世界と矛盾、注目する技術【売り場から始めるサステナ実践例】
https://www.wwdjapan.com/articles/1563037
ちなみに、4年ぶりの来日となったステラ・マッカートニーは、滞在中に、東京藝術大学で特別講義を行いました。モデレーターを務めたのは、同大美術学部デザイン科准教授でもあるアーティストのスプツニ子!です。ステラはアーティストの奈良美智さんと「チェンジ・ザ・ヒストリー」をスローガンにしたコラボレーションも行っています。スプツニ子!との対話の中で、ファッション業界の常識を疑いチャレンジすることの重要性や、学生はファッションの未来であり希望だということ、注目素材や、動物福祉などについても語っています。
ステラの両親(ポール・マッカートニーとリンダ・マッカートニー)の大ファンだという学生から、「彼らの音楽も愛がテーマでしたが、ステラさんの愛に対する考え方を教えてください」という質問に対して、「愛は私の大きなテーマです。以前お客さんが『あなたの作る服が好きな理由は、愛を感じられるから』と言ってくれました。こんなことを言うのもなんですが、“ALL YOU NEED IS LOVE”ですよね。特に現代において、ファッションを通じて物語を伝える重要性が高まっていると思います」と答えたシーンも印象的でした。
この講義の様子も、「WWD」の「ステラ・マッカートニーが藝大で特別講義 歴史を変える当事者にと学生にエール」の記事から読むことができます。
https://www.wwdjapan.com/articles/1568177
有料記事が多いのですが、ヒントや気付きが満載な「WWDジャパン」のサステナ特集やステラのインタビューを通じて、サステナビリティを自分事としてとらえてアクションに移すきっかけにしていただければ幸いです。
サステナブルニュース
世界環境デー、2023年のテーマは「プラスチック汚染の解決策」 Yahoo!JAPAN SDGsの特集に注目
2023/06/07
Yahoo!JAPAN SDGsのサイトより
4月22日の「アースデー」、5月30日の「ゴミゼロの日」などと並んで、地球環境に対する啓蒙活動が活発に行われるのが、6月5日の「世界環境デー」です。国連によって定められたもので、それにちなんで日本では6月を「環境月間」と位置付けています。 世界環境デーでは毎年、ホスト国とテーマが設定されています。2020年はコロンビアで「自然のための時(Time for Nature)」、2021年はパキスタン「生態系の回復(Ecosystem Recovery)」、2022年はスウェーデンで「かけがえのない地球(Only One Earth)」でした。 2023年のテーマはコートジボワールで「プラスチック汚染の解決策(Beat Plastic Pollution)」です。プラスチックは軽量で成形もしやすく安価で大量生産され、日常生活や産業のいたるところで使用されています。けれども、ゴミとして海に流れ込んで、生態系や漁協に悪影響を与えたり、海岸が汚れるなど海洋ゴミ問題が深刻化しています。小さく粉砕されたマイクロプラスチックは魚や鳥が食べてしまい、食物連鎖で人体に悪影響を与えることも研究で明らかになってきていると言われています。 このプスチック問題に関して、特集をしているのが、「Yahoo!JAPAN SDGs」です。https://sdgs.yahoo.co.jp/ 「私たちは、どれくらいの量のプラスチックを取り込んでしまっているのか」「プラスチックは人体に影響があるのか」などのクイズ https://sdgs.yahoo.co.jp/special/env_quiz_2023.html とともに、関連記事がまとめられています。 「人体に影響はない、はウソ。マイクロプラスチックの影響がわかり始めている」https://sdgs.yahoo.co.jp/originals/65.html の記事中には、「お腹の中の赤ちゃんの育ちのジャマをしたり、精子が減ったり、乳がんになりやすくなる可能性も示唆されています」という指摘もあります。少子化の原因にも関係するマイクロプラスチック問題は、まさに、サステナビリティ(持続可能性)につながる重要な課題だと再認識する機会になることでしょう。 ちなみに、6月8日は「世界海洋デー」です。これに合わせて、メンズファッション誌「OCEANS(オーシャンズ)」の長期連載コラム「SEAWARD TRIP」を執筆してきた小山内隆(おさないたかし)氏が、20人の識者をインタビューした書籍「海と暮らす~Seaward Trip」を出版します。 「サーファーでもある僕は、『海は楽しい』『海は人生を豊かにしてくれる』という思いを伝えたくて10年前に連載を始めました。その後、2015年に採択された「SDGs」の14番目の目標として『海の豊かさを守ろう』が掲げられましたが、課題は多く、問題は深刻です。問題は海洋ゴミだけではありません。全国的に海岸では護岸が進み、自然景観そのままのビーチは減少の一途です。浸食されてビーチの砂が減り、海水浴場が閉鎖されていくことなどを背景に“暮らしと海の距離が遠くなった”とも感じています。この本を、『海の豊かさ』を考えるきっかけになる、SDGs全盛時代の必読の書として手に取っていただければ幸いです」と小山内氏。 小山内隆が編著した「海と暮らす~Seaward Trip」(イカロス出版刊)
4月22日の「アースデー」、5月30日の「ゴミゼロの日」などと並んで、地球環境に対する啓蒙活動が活発に行われるのが、6月5日の「世界環境デー」です。国連によって定められたもので、それにちなんで日本では6月を「環境月間」と位置付けています。 世界環境デーでは毎年、ホスト国とテーマが設定されています。2020年はコロンビアで「自然のための時(Time for Nature)」、2021年はパキスタン「生態系の回復(Ecosystem Recovery)」、2022年はスウェーデンで「かけがえのない地球(Only One Earth)」でした。 2023年のテーマはコートジボワールで「プラスチック汚染の解決策(Beat Plastic Pollution)」です。プラスチックは軽量で成形もしやすく安価で大量生産され、日常生活や産業のいたるところで使用されています。けれども、ゴミとして海に流れ込んで、生態系や漁協に悪影響を与えたり、海岸が汚れるなど海洋ゴミ問題が深刻化しています。小さく粉砕されたマイクロプラスチックは魚や鳥が食べてしまい、食物連鎖で人体に悪影響を与えることも研究で明らかになってきていると言われています。 このプスチック問題に関して、特集をしているのが、「Yahoo!JAPAN SDGs」です。https://sdgs.yahoo.co.jp/ 「私たちは、どれくらいの量のプラスチックを取り込んでしまっているのか」「プラスチックは人体に影響があるのか」などのクイズ https://sdgs.yahoo.co.jp/special/env_quiz_2023.html とともに、関連記事がまとめられています。 「人体に影響はない、はウソ。マイクロプラスチックの影響がわかり始めている」https://sdgs.yahoo.co.jp/originals/65.html の記事中には、「お腹の中の赤ちゃんの育ちのジャマをしたり、精子が減ったり、乳がんになりやすくなる可能性も示唆されています」という指摘もあります。少子化の原因にも関係するマイクロプラスチック問題は、まさに、サステナビリティ(持続可能性)につながる重要な課題だと再認識する機会になることでしょう。 ちなみに、6月8日は「世界海洋デー」です。これに合わせて、メンズファッション誌「OCEANS(オーシャンズ)」の長期連載コラム「SEAWARD TRIP」を執筆してきた小山内隆(おさないたかし)氏が、20人の識者をインタビューした書籍「海と暮らす~Seaward Trip」を出版します。 「サーファーでもある僕は、『海は楽しい』『海は人生を豊かにしてくれる』という思いを伝えたくて10年前に連載を始めました。その後、2015年に採択された「SDGs」の14番目の目標として『海の豊かさを守ろう』が掲げられましたが、課題は多く、問題は深刻です。問題は海洋ゴミだけではありません。全国的に海岸では護岸が進み、自然景観そのままのビーチは減少の一途です。浸食されてビーチの砂が減り、海水浴場が閉鎖されていくことなどを背景に“暮らしと海の距離が遠くなった”とも感じています。この本を、『海の豊かさ』を考えるきっかけになる、SDGs全盛時代の必読の書として手に取っていただければ幸いです」と小山内氏。 小山内隆が編著した「海と暮らす~Seaward Trip」(イカロス出版刊)