サステナブルニュース

文化服装学院生がセンコーグループホールディングス本社のゼロブランズと東京納品代行東京FLC(潮見倉庫)を視察、ZEROBRANDsを通じて物流とSDGs・ファッションロス削減の重要性を学ぶ
2023/12/07
文化服装学院のファッション流通高度専門士科2年生(担任:中野麗子先生)ら30人がこのほど、センコーグループホールディングス潮見本社を訪れました。物流の力でファッション廃棄物ゼロを目指す子会社ZEROBRANDS(小林治彦社長)の事業を通じて、アパレル業界が抱える環境や事業などの問題を学ぶとともに、物流倉庫の業務や現場をリアルに見ることで、これまで知らなかったファッションビジネスの裏側を知り、物流やSDGs・サステナビリティへの取り組みの重要性を理解することが目的でした。 この課外授業では、冒頭に潮見ビル8階ホールで、小林社長から、センコーグループとZEROBRANDs事業についてレクチャーを行いました。ラグジュアリーブランドや百貨店アパレルブランドなど、千以上のブランドを取り扱うセンコーグループは、日本国内のファッション物流の13%ほどのシェアを占める、秘めたナンバーワン企業であることを紹介。商品を店頭に納品するだけでなく、売れ残った商品の物流センターへの返品や、アウトレットストアへの移送といった静脈物流を活用した・1.5次物流の存在なども解説しました。 そのグループの一員として、ネットワークや知見を活かしながら、気候変動だけでなく収益向上面でもファッション業界の大きな課題である、売れ残った余剰在庫品問題を解決するためのファッションサステナブルEC販売事業を立ち上げたミッションを説明。ありのままの形でとことん売り切り、どうしても売れ残ったものに関してはパートナー企業を通じて再販したり、B品や不良品などを修繕したり、リメイクして付加価値をつけたり、パネルにするなど、リサイクル・アップサイクルする構想なども伝えました。 「一流のブランドをサステナブルに」「新しい自分に会える」「1着分で5着分の満足を」といったメリットを訴求。まずはセンコーグループの従業員やそのファミリーなどだけに限定価格で販売するクローズドサイトとしており、将来的に一般の方々にも利用いただけるオープンサイトにできればと小林社長。 さらに、フランスでは昨年1月から新商品を廃棄することができなくなる法律が施行され、ファッションロスの解消は、サステナビリティの推進という掛け声だけでなく、日本企業も取り組まなければならない必要不可欠な事業課題であることも訴えました。  その後、敷地内にある東京納品代行東京FLC(潮見)の倉庫に移動。入出荷スペースや、倉庫スペースを案内しました。広いスペースに積まれた大量の商品や棚などに驚いたり、出荷前の新商品に目を見張る生徒も多くいました。国内外から入荷した商品を1点1点検品したり、洗濯ネームや下げ札などのタグをつけたりする様子にも興味示していました。 レクチャーと倉庫視察後には、「ZEROBRANDsをもっとよくするための課題や改善案」をグループでディスカッション。インフルエンサー施策や、ブランドイメージ向上など、プロモーション方法についてさまざまな意見やアイデアが発表されました。 後日提出されたレポートでは、学生から次のような声が寄せられました。(一部、校正・編集して読みやすくしています)。まずは物流・倉庫部分に対するコメントです。

"働く人たちのリアルな姿を見ながら説明を受けられた。倉庫内の利便性に特化した造りや、着々と準備される姿を見て感慨深いものがあった。"

"初めて倉庫を見学して、その広さと大きさに圧倒された。働いている方や運転手(ドライバー)の方の意見も聞くことができて良かった。"

"莫大な量の製品をまとめること、とにかく量の多さに圧倒された。店頭に運ばれてくる前の検品の状態を見れたのはすごく貴重だし、目に見えないところで丁寧なお仕事をされているなあという印象だった。"

"物流の仕事は地味で機械に任せきった職業だと思っていたが、今日の講義や見学からアパレル業界の土台となっている職業なんだなと感じられ、これからの日常の過ごし方の気持ちの変化があるなと思う内容だった。"

"初めて物流の実際の現場を見て、商品が消費者の手元に届くまでの、普段生活しているだけでは目にすることができない、商品が倉庫に到着し、お客様に届くまでの過程でどのような作業が行われ、取引先ブランドのことをよく考慮したプロセスを体験することができた。"

"商品をピックアップする際のデジタル眼鏡(スマートグラス)の活用に驚いた。"

"物流システムの情報化に力を入れていて、顧客のニーズに応える柔軟で効率的な物流サービスを提供していることがわかった。スマートグラスを使って誰でも簡単に作業をできるようにするなど、いろいろなことを試行錯誤してチャレンジしていることを学んだ。"

"倉庫見学では、利便性を追求した造りや、黙々と働く人たちを見て、このような方々の元を経て私たちの元に届いているのだと感慨深かった。今まで物流の仕事はシンプルかつ地味な仕事と捉えていたが、アパレル業界の縁の下の力持ちのような存在を担うと考えるとすごく興味深くなった。"

"ブランドによって在庫管理の方法に違いがあることや、出庫前に1点1点人の目で不良がないか、洗濯表示タグや商品タグなどがきちんとつけられているのかを点検していることを学んだ。"

"ハンガーラックがついているトラックも初めて知ったし、ハンガーにかけると自動で動いて上の階まで運べることなど、進化していて、見ていて楽しかった。"

"授業の中だけでは理解しきれないところまで見ることができ、作業の流れを知り、体感し、今後、企画をする立場になったときに相手の立場に立ち、考えることができるのではないかと思う。倉庫の設備や効率良く作業する方法も教えていただき、今後しっかり活用できる場面で活かしていきたい。"

▼ZEROBRANDsによるSDGs・サステナビリティ活動に評価 ZEROBRANDsについてのコメントです。

"セールで売れ残ったものがZEROBRANDsでEC販売されたり、補修・リメイク・リサイクルなどがされて、サステナブルに特化した良い取り組みだと特に思った。"

"今の社会やアパレル業界の課題が浮き彫りとなるものなので、今後このような取組みの下、アパレル業界が環境に配慮し、それが当たり前というような社会になればと思う。"

"服を捨てず、安く販売することで買う人が多くなるこの取り組みに共感して購入してくれる人が多く増えればよいと感じた。ブランドものなので、品質は高く、それを安く手に入れられるのは魅力的だと感じた。これをよりよりよく発信し、たくさんの人に認知してもらうことが大切だと感じた。"

"物流を主にされていると会社なので最初はイメージが湧かなかったが、SDGsを意識しているZEROBRANDsの活動もとても良い取り組みだと感じた。保管するスペースもあり、もう少しで(一般向けの)オンラインを立ち上げられる構想があるということで、もっと広まっていくと良いと思った。"

"コンセプトは面白いが、他ブランドやアウトレットとの差別化やプレゼンテーションが不十分。しかし、服を捨てないという取り組みは今、とても必要だと思うので、成長させる必要がある。売上げを伸ばし、新しい消費者層にアピールするためには、ウェブサイトやPRを直す必要があると感じた。"

"まだ改善の余地があり、特にインフルエンサーの起用や認知度を向上する必要があると感じた。"

"一番驚いたのは什器のリサイクル(の構想)だ。私のアルバイト先では使わなくなった什器などはそのまま廃棄していたが、紛糾してまた新たな什器や家具に生まれ変わるサイクルが行われるという、この取り組みがもっと広がるといいなと思う。"

"SDGsは仕事に後からついていくということではなく、仕事の中にSDGsがあり、環境などがつながってこそ成り立つファッション業界なのだと思った。一度は不要になったモノやコトをいかにして価値を戻し再活用できるか。無駄をなくすことと似ているようで似ていない。結果として僕は無駄を作らないシステム作りが大切だと思った。今あるモノやコトを少しずつカットしなければならないかもしれないけれど、そのような努力が持続可能な社会をつくる一歩なのかもしれないと思う。"

"EVトラックでも一部で行われているとのことで、環境のために今後は全ての商品がEVトラックでの配送になればと思った。"

▼センコーGの企業価値向上につながる ちなみに、センコーGHDの企業価値向上や採用にもプラスに寄与したのではないかと思われる記載も多く見られました。

"会社が思った以上に綺麗で、倉庫も綺麗で驚いた。たくさんの機械が導入されていて、眼鏡をかけるだけでモノの管理場所がわかるなど高度なものがたくさんあってすごいなと思った。"

"仕事内容がひたむきで懸命に取り組んでおり、仕事への熱意が感じられた。一見単純作業のように見えるが、このようなひたむきな作業があるからこそ自分たちのファッションが楽しめて豊かな生活ができているのだと思った。ビルの中もシンプルに統一されていて、仕事が効率よくできる環境が作られていると思った。"

"特に印象深かったのは、社員の方の対応で、私たち学生のつたない意見を一つ一つメモし、耳を傾けてくださっている様子を見て、とても嬉しく感激した。ファッション業界において、物流は製品の供給・生産・流通において不可欠であり、需要を満たすのに大きな役割がある。物流がよりスムーズになると在庫管理、消費者に早く手に届き、顧客満足につながり、他ブランドとの競争力向上につながるとても重要な分野だとういう理解に変わった。"

"舞浜駅に近いのは激熱です。"

今後も、学生たちとの交流や産学共同プロジェクトなどの取り組みにつながることが期待されています。